日々俳諧

2010
ペダル踏む 双肩に汗 道遠し

さわさわと 夜更けて地球は 象の耳

雨上がり 鳴き止む蝉や 玉の汗

めぐる春や 風の便りと 遠き山

スピードも 加速こそすれ 春の枝

そろそろと 顔を出します 春の瘤

年明けて 昼下がりです こちら側

夕暮れも 新しきかな 年始め

2009
しみじみと 暮れてゆきます 大晦日

鉄橋を 渡って風の 彼岸かな

この道を 川沿いに 下るなり

川風も 気持ちよきかな 落ち胡桃

川風や コスモスの聲 黙るなり

風受けて 渾身の凧 あとずさる

風よ風 天空の 凧に聴け

秋近し ピストルの聲 かきけされ

秋風や 釣り針キラリ 遠ざかる

蝉の聲 遠のき枝に 風寒し

曇り空 明るき旅の かもめかな

黒雲に かくれて秋の 住処かな

遠雷の また向こうに 秋はあり

虫の音も やがて遠のく 卓下かな 

ペダル重し 銀ヤンマの道 風の道

故郷も 蝉の声止み 時雨かな

蝉の声とどかず 産院の窓 硬し

夕暮れに カラス 鳴き忘れ

ウイルスや 傘の雫か 旅の空

我春や 想いは途絶え 異国かな

目元より 吹き抜ける 春の風痒し

UFOを 見つけし春の かまどうま

身につきし うろこ静に はがれ落ち

見上げれば 星より遠く 海馬かな

三脚に 乗せて夕焼け ほうり投げ

呆呆と 夜の額は 屋根を越え

背に受けし 寒き秒針 荒野あり

宇宙船の 左翼より地球を臨む 三が日

天井に 座って夜を 跨ぐかな

首筋に 流れ込むなり 時の種

遥々と 山並み暗し 年初め

年越えて 行き着く先や 空の下

新年や 真空重し 窓の闇

流れ星 街角ですれちがい 秋の暮れ